= 栽培 =
KORI ANRI は、杞柳細工の原料となるヤナギ科の落葉低木「コリヤナギ」の栽培から加工、作品となる過程の全てを一貫して手掛ける本物の手仕事を軸に活動しております。
放っておいても育つ強い植物ではありますが、私たちは「より良い材料」に育てるため、通念、少なくない時間を畑作業に費やし、年間を通して育てたヤナギを、翌年以降に材料として製作に当てることができるようになります。
「コリヤナギ」は植物としての成分で「タンニン」を含んでいます。いわゆる赤ワインにおける渋みを感じる成分であるそれは、防虫効果を備えます。つまりコリヤナギを丸木のまま材料とする「柳行李」や「飯行李」といった製品と、その他 KORI ANRI の商品はどれをとっても同様であります。
こと「飯行李」に関して補足すると、材料を丸木のまま使用することにより、材料中芯部にあるワタが湿気を調節してくれることで入れた飯が旅先でも美味しく頂けるという至極理にかなっており尚且つしっかりと作られた編み目によって美しさを兼ねた製品が出来上がります。
春
株元から新芽が萌えはじめる頃
KORI ANRI では前年12月に刈り取り
束にしておいたコリヤナギの山を解き
改めて「仮差し」します。
これは「冬越し」によって
一度瀕死状態になったコリヤナギの一本一本に
春の陽気を感じさせることで
再度芽吹かせ、皮を剥ぎやすくするため。
「仮差し」によって生き返ったコリヤナギは
収穫してまた一本一本と
今度は皮を剥いでゆきます。
皮を剥いだコリヤナギは乾燥する前に
しっかりと流水で揉み洗い。
そして晴れ間に1〜2週間天日干しします。
夏
天に向かって真っ直ぐ伸びていく頃
春に収穫したコリヤナギが材料になりました。
製作に励む束の間にコリヤナギ畑には雑草が生い茂っています。
雑草の処理や害虫の管理を怠っていると
綺麗にすっと伸びた材料に育たないため
株元の間の雑草処理は勤勉でなくてはいけません。
そうした作業のついでに
「芽かき」を同時に行います。
株元の年数が大きいとその分
枝分かれが生じるため
不要な新芽を若いうちに摘んでおくことで
綺麗でしっかりとしたコリヤナギを育てることができます、
非常に重要な作業です。
秋
穂先が金色に輝き揺れる頃
雑草や害虫の管理は怠らずに
変わらずに手間隙かけて育てるコリヤナギ
通年の全ての工程のおかげで
枝分かれの少ない綺麗なコリヤナギが育ってくれます。
秋の暮れには成長が止まり
秋風によって落葉してゆき
あとは時を待つだけ。
冬
一年の成長の集大成が訪れる頃
豊岡市は全国的にも降雪が多い地域で知られていますが
春から秋にかけて大切に育てたコリヤナギが
積雪によて倒され折れてしまうことを避けるためにも
降雪の始まる前に「刈取り」を行います。
株元より伸びたコリヤナギを
なるべく長めに採取したいので
株元に近い位置で鎌や剪定鋏で刈り取ります。
このときにある一定の割合で
束にしてまとめてゆきます。
そして全てのコリヤナギが刈り取れた時点で
事前に膝下程度が入るまで掘っておいた穴に
一束ずつ刺すように立ててゆきます。
集合体にさせて立てた柳を最後に一括りにし
しっかりと束ねることで吹雪にも負けない
コリヤナギの山を仕立て
「冬越し」に入ります。
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